書きかけのメール

 

新潟県にお住まいのけんじさんからお母さまへのお手紙です。

 

ついつい後回しにしてしまっていたお母さんのこと

まさか、体調が悪いなんて思ってもいなかった・・・

 

携帯メールの仕方を教えてって言われても

どうせ扱えないよって相手にしなかった・・・

 

いっぱい後悔しているよ。。。

  

 

 

 

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 書きかけのメール

 


 母さん
 ごめん
 本当にごめん


 今思えば、とっくに田舎に帰ることもできたんだ
 東京っていうところが楽しいから、友達いるから

 


 ついつい母さんには


 東京でなければ
 今の仕事はだめなんだ

 だからまだ帰れない
 なんてウソを言ってしまっていた

 


 実は、もうその時点で
 自分の限界を感じていたのに

 

 正月に家に帰ったとき
 携帯電話のメールの仕方を
 一生懸命教えてほしいって言ってたよね

 


 どうせできないんだと思いつつ
 自分のアドレスと電話番号を登録して
 

「難しいから母さんには無理だよ」

 の一言だけで片付けてしまった

 
 お母さんが亡くなった日
 病院の先生から

 お正月も過ぎたころから体がしんどくなってくるってことは

 お母さんには伝えていたんです」

 ということを聞いた

 


 お母さんは、この年になっても
 自分のことを心配させないように
 自分の病気のことを隠してたんだね

 


 母さん
 いつも僕とつながっていたかったんだよね
 それでメールを覚えたかったんだよね

 それなのに僕は
 東京で好き放題な毎日

 少しもお母さんのことなんか
 振り返っていなかった

 
 携帯電話のメールの説明書を読みながら
 はじめて送ってきてくれたメール
 「さとしさん 風邪 ひいませんか?」
 

 「て」が抜けてるよ
  という返信メールをした後

 メールは二度と帰ってこなかった


 かわりに
 病院から電話がきた

 母さんが亡くなった今
 ただただ自分がなさけなくて なさけなくて なさけなくて
 自分が許せなかった

 
 母さん
 駆けつけた病院のベッドの枕元で
 書きかけのメールの携帯電話みつけました

 「次は、いつかえってくるてすか?母さんは、」

 

 

 ほんとうにごめん
 

 


 さとし

 

 

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